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第三話 一世紀生き抜き 天寿全う Yさんの話

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記:百花玲

第3話 『 一世紀生き抜き 天寿全う Yさんの話 』

 

大正2年生まれ、女子師範学校を卒業し、熱血小学校教諭として働いていた。

ところが、50歳を迎えるころ胃の検査で異常が見つかりました。

今から60年以上前の話、内視鏡での部分切除など無い時代、胃の大半を切除。

ご本人は『60歳まで生きられたら御の字』と覚悟を決められたそうです。

 

ほどなく、娘が結婚し、孫が生まれた。余生を楽しもうと編み物に書道、旅行や芝居見物など趣味に外出に忙しく過ごされます。

気が付けば覚悟の60歳をとうに過ぎ、友人や教え子と交流を楽しまれました。

 

80歳を過ぎたころ、娘夫婦と同居。毎朝の日課は、基礎化粧を自分で施し、新聞2紙を読み、

気になる書籍があれば購入し、世情を勉強しました。また、カメラを購入し、庭の草花の写真撮影が趣味となりました。

 

85歳で軽い脳梗塞を発症。リハビリにて屋内は杖なし、屋外で杖使用の暮らしとなりました。

娘や孫が世話をやくと

『あなた達は私の年齢になったことがないでしょう。この大変さがわかるまい』とおっしゃる。

おっしゃる通りでございます。

 

美味しいものが大好きで、食事は、小さく切ったおかずを日本茶片手にゆっくりと味わい楽しみました。

88歳になるとひ孫に会いに娘夫婦と一緒に沖縄まで飛行機で行くことが楽しみとなります。

90代半ば足腰の筋力低下によりデイサービスの利用や訪問診療の利用を始めます。

気丈な性格で、自室からトイレや洗面化粧台まで家具や手すりとロープを頼りに自力で移動し、

毎日の日課であるお化粧はご自分でされていました。

 

日々の暮らしは、自室の愛用の椅子に腰掛けて、テレビを見たり、庭を眺めて季節の花を楽しみ

穏やかに過ごされていました。

100歳8か月のある日『もう疲れたからベッドに横になって過ごしたい』と言われ、ベッド上で過ごす生活となりました。

ベッド上の生活が始まって10日後の夜、『おやすみなさい』と家族に言い天寿を全うされました。