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アイビー便り

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たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル

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こんにちは、アイビー院長です。

 

私が愛媛のたんぽぽ先生こと永井康徳先生のところで修行してから5年の月日が経とうとしています。

 

たんぽぽクリニックに勤務しながら、この算定マニュアルの第5版を一生懸命読んでいたのは良い

思い出です。

 

基礎研究から在宅医療に転向して、在宅医療の診療報酬という制度を研究・解説することの重要性を

知ったのは私にとって驚きでもありました。

 

それまでは自然科学の一つである基礎医学において生体での研究にばかりフォーカスしていて、

制度などの社会的なことがらにも解明すべき点が多くあるということを知らずにいたからです。

 

 

永井先生は、制度を正しく理解しなければ、患者さんに適切な在宅医療を提供することが出来ず、

われわれ専門職の無知は患者にって罪である!と言っています。

 

たしかに在宅医療制度は複雑です。これは診療報酬と訪問看護療養費、介護報酬が絡み合う仕組みと

なっているからでしょう。この複雑性を否定的にとらえるか、肯定的にとらえるかで理解が

変わるように感じます。

 

限られた資源のなかからより良い医療・介護を提供するという目的のために制度の複雑性が

生じてしまう、だからこれを否定的にとらえてはいけないということは、たんぽぽクリニックで

学んだことの一つです。

 

 

 

今回の報酬改定のトピックの一つとして往診に関する評価の見直しがありました。

 

往診については浦添市在宅医療ネットワークでも意見が戦わされていたので、時機を得た改訂で

あったと思います。

 

在宅医にとっての往診は定期訪問している患者さんからの要請で訪問するものですが、

そもそも往診とは、定期訪問の有無に関わらず急な状態変化で、患者や家族からの求めに応じて

患家に赴くことだという主張もありました。

 

往診の定義としては正しいのですが、実際問題としてバックグラウンドを知らずに休日・夜間の時間外に

患家に訪問する肉体的・経営的体力が私を含めた多くの在宅医には不足しているのが現状です。

 

しかし、このようなニーズが存在するのは事実であり、医療費助成が手厚い大都市部を中心に

夜間・休日往診を専門とする株式会社が立ち上がり多くの利用者がいたようです。

 

今回の改訂では、このような夜間・休日往診に対して加算の引き下げが行われています。

少子高齢化社会での医療費増大に対して適正化が図られたかたちで、われわれ在宅医が考えて

いたものが往診として評価されることになったと思います。

 

 

参照文献:永井康徳 たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル第8版 日経BP 2024年