アイビー便り
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主治医意見書の医療機関別の分布
- 2025年8月17日
- 院長のゆんたく
こんにちは、アイビー院長です。
これからしばらく、わたしが今一番興味をもっている主治医意見書についてどのような研究があるかを
分かりやすくお伝え出来たらと思います。
ただ時系列に整理するわけではなく検索で見つかったものをランダムに紹介するかたちになります。
初回は2015年(平成27年)4月「厚生の指標」誌に発表された「要介護認定における主治医意見書の
医療機関別の分布」という論文です。
筆頭著者の森山葉子さんの当時の所属は筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野です。
そこで助教を務められていました。
平成24年度の介護保険法改正で「医療と介護の連携の強化等」に関する項目が追加されたが依然として
両者の連携には課題が多い状況であるという問題意識から研究が始まります。
介護保険法では要介護認定申請時に主治医に「身体上又は精神上の障害(生活機能低下)の原因である
疾病又は負傷の状況等」について意見を求めることとされています。
それは主治医意見書として記載され、医療と介護との連携に重要な役割を果たすものです。
主治医意見書はコンピューターによる一次判定を補足するものとして、長く患者の医学的管理を行って
いる主治医の意見をも含めた医学的視点を介護度に反映させることが期待されています。
しかし、その記載が不十分である、日頃の状態を熟知していない医師による記載がある、などの問題点
も指摘されています。
そこで今回の研究は実際に主治医意見書を書いている医師はどのような機関(クリニックや大病院など)に
所属しているのか、また所属により医師の書く意見書に何らかの違いがあるかを明らかにしたいという
目的で行われています。
研究の対象は2012年3月の1か月間に東京都文京区介護認定審査会で用いられた主治医意見書で、
介護認定審査会資料で現在の状況が「居宅」である第一号保険者の598件です。
筆者らは医療機関を以下のように分類しました。特定機能病院とは高度な医療を提供、開発または研修を
行うところで大学病院やナショナルセンターなどが該当します。
文京区なのでいろいろな病院があるのでしょうね、
それでは各々の医療機関での主治医意見書の作成頻度を見てみましょう。
一番作成頻度が高いのが診療所なのは納得ですが、意外なことに特定機能病院が200床以上の一般病院を
わずかですが上回って2位の位置を占めています。
しかし、診療所と療養病床のある病院だけが主治医意見書作成回数が2回目以降の割合が多く、
特定機能病院や一般病院では1回目の割合が高かったです。初回は認定を大病院で受けて、
地域のかかりつけである診療所などで2回目以降の作成が行われていることが想像できます。
次に生活機能低下の直接の原因となっていると考えられる主治医意見書の第一傷病名の医療機関別の分布を
見てみましょう。
アルツハイマー型認知症、その他の認知症、脳梗塞、骨折、がんの順に上位を占めます。
診療所と特定機能病院ではアルツハイマー型認知症が最も多く、一般病院・大学病院では骨折が多いようです。
特定機能病院ではアルツハイマー型認知症、骨折、がんが9.8%で同率首位でした。
最後に各々の主治医意見書の特徴を見てみましょう。
診療所と療養病床のある病院の医師は記載が多い傾向があるものの、特定機能病院と200床以上の一般病院では
未記載項目が多く、200床未満の一般病院では自由記載欄の未記載が多いようです。
これらは高齢者の日常生活を含めた状態の把握が出来ていないことによるのではないかと推定されています。
多忙な医師にどの程度まで求めるのか(またそれを補助する制度はあるのか)、記載された情報は介護認定
審査会にどの程度の影響力を持っているのかなど知りたいことは色々ありますね。
最後に主治医意見書は特定機能病院や大規模病院ではなくかかりつけ医に依頼したほうが良いのではと
筆者はまとめています。
参考文献:森山葉子、田宮菜奈子、宮下裕美子、中野寛也、松田智行
要介護認定における主治医意見書の医療機関別の分布 厚生の指標 62巻4号 2015年
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