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主治医意見書に記載された診断名の解析

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こんにちは、アイビー院長です。

 

今回は初回紹介論文の6年前2009年(平成21年)3月に同じ「厚生の指標」誌に発表された

「介護保険主治医意見書に記載された診断名の解析」という論文です。

 

筆頭著者の谷原真一さんは当時、福岡大医学部公衆衛生学教室の准教授で現在は久留米大学

医学部公衆衛生学教室の教授を務められています。

 

この論文の出発点は、医療保険における診療報酬明細書(レセプト)の傷病(診断)名の問題

のようです。

 

レセプトは医療費に関する統計調査における基礎資料として用いられていますが、紙レセプト

からの情報抽出の困難性からすべての傷病ではなく主傷病のみが用いられていたところ、

統計解析にバイアスを生じている可能性があったようです。

 

主治医意見書はほぼすべて紙媒体での提出であり、今後データ解析を行う際に同様な問題が起こり

得るでしょう。そのため主治医意見書の診断名記載の状況を見ることで将来データベース化を行う上での

問題点を検討してみようというものです。

 

対象は2000年2月から2007年1月の間に福岡県Y町にて要介護認定をうけた482人の主治医意見書です。

 

まずは対象者の性別と年齢の分布を見てみましょう。全体の約3分の2が女性で、平均年齢は83.6歳

(男82.1歳、女84.4歳)でした。年齢別でみると80-89歳が247人(51.2%)で一番多かったです。

 

 

 

主治医意見書の診断名記載欄は最大3行に限定されていますが、診断(傷病)名は何行まで記載されて

いるのかを次に見てみましょう。3行とも全て記載されているのが6割で最も多いのですが、2行までが

約3割、1行のみも約1割にみられました。

 

 

 

1行のなかに単独の診断(傷病)名ではなく複数の記載があるものも多いことが分かりました。

2つの病名をかいたものが各行で約1割存在し、最も多いものは1行に4つの傷病名記載がありました。

 

 

 

次にこれら診断(傷病)名の総数を見てみましょう。記載行数に一致した3つが5割弱で

最も多かったのですが、4つ以上も2割弱みられ、最も多いものでは7つでした。

 

 

 

最後に診断(傷病)名を社会保険表章用疾病分類表(厚生労働省保健局)の中分類(119分類)

に則って集計してみました。

1行目は男女とも上位に血管性及び詳細不明の認知症と脳梗塞が上位を占め、2・3行目には

高血圧性疾患と整形外科領域の傷病が上位になる傾向がみられました。

 

 

 

主治医意見書記入の手引きでは、4種類以上の傷病に罹患している場合は、診断名記載欄への記入は

主なものにとどめ、必要であれば「特記すべき事項」の欄に記載すると述べています。

 

高齢者は多疾患罹患が多いのですが、生活機能低下の直接の原因となっている傷病名をよく吟味して

書くべきなのでしょう。

 

そうすると今回の解析で1行目の傷病名に認知症と脳梗塞が多くを占めているのは納得ですね。

 

筆者らはレセプトオンライン化と同様に主治医意見書に記載された情報の全項目が利用可能な制度を

設計することで、医療保険と介護保険を突合した分析が可能となり、我が国の社会保障費の問題を

より実態に沿ったかたちで検討できるであろうと述べています。

 

 

参考文献:谷原真一、田中千恵美、板並智子、渡辺美野子、北島純子、馬場園明、今任拓也、

百瀬義人、畝博 介護保険主治医意見書に記載された診断名の解析 厚生の指標 56巻3号 2009年