アイビー便り
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急変時の死亡診断
- 2024年11月17日
- 院長のゆんたく
こんにちは、アイビー院長です。
われわれが訪問診療している患者さんは高齢者が多く、人生の最終段階といえる時間を
穏やかに過ごされています。
しかし、このような患者さんの状態が急変することがあります。その場合どうするか?
これまで十分生きて来たので急変したときには自然にまかせ、救命措置(心肺蘇生)を
行わないとするかたも多いです。
その場合は、救命治療を使命とする高次病院への搬送は行わずに在宅医が患者さんの
もとに駆け付けます。
しかしあまりに突然の変化であった場合、救命措置を希望しないつもりであったものの、
家族が救急車を要請し高次病院に搬送されることがあります。
そこで患者さんが回復されれば自宅に戻ることも出来ますが、不幸にして高次病院で
直ぐにお亡くなりになることがあります。
対応した救急担当医が死亡診断書を書けば、自宅に帰り葬儀・火葬を行うことが出来ます。
しかし、これまで診療を行っていないということで診断書作成が拒否され、その結果
ご遺体が警察に引き取られることもあります。
急な体調変化で亡くなって動揺しているうえに、悪いことをしたわけでもないのに
遺体のまま警察署に留め置かれる事態を家族は容易に受け入れることが出来ないので
はないでしょうか。
そのようなケースを踏まえ厚生労働省より令和6年度に死亡診断書(死体検案書)
記入マニュアルの改正が明記されました。
別にかかりつけ医がいる患者が救命措置を目的に病院に搬送され、初診でお亡くなりに
なったことを確認したとき、生前の診療を担当していなかった医師でも
以下の3条件を全て満たす場合には死亡診断書が交付できます
(ご遺体は自宅に帰ることができます)
1.生前の心身の状況に関する情報を、正確に把握できていること
2.患者の死亡後に死後診察をおこなうこと
3.生前に診察を受けていた傷病に関連して死亡した、と判断できること
われわれはかかりつけ医として高次病院救急担当の先生より1の問い合わせに対応する
責務があります。これまでの受診状況等を話すことで担当の先生は3の判断を下す
ことが出来るでしょう。
事件性がないのであれば、高次病院救急担当の先生には真夜中でもいつでも
かかりつけ医に連絡を取って頂くようお願いします。そうすればご遺体が家族と離れ
ひとり警察で過ごすこともなくなるでしょう。
われわれには寿命があり、何時それが尽きるかを医療者が全て予想できるわけ
ではないと思います(特に糖尿病などの基礎疾患をお持ちの場合は)。
突然お亡くなりになったという事実を厳粛に受け止め、グリーフケアの意味も
含めご家族の納得できる診断をタイムリーに下すことは大事だと思っています。
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