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アイビー便り

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在宅医療の本

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こんにちは、アイビー院長です。

 

わたしに在宅医療を教えてくれた愛媛の医療法人ゆうの森たんぽぽクリニックの永井康徳理事長から

2冊の本をご恵贈頂きました。

ありがとうございました。

 

変わらずアクティブに情報発信される姿勢には頭が下がります。

 

 

 

 

 

 

前回のゆんたくでとりあげた訪問診療と透析治療について「在宅医療の質を高めるキーフレーズ」でも

触れられていたのでご紹介したいと思います。

 

 

「人工透析を中止したい」と言われたとき

ー透析を希望しない妻、透析を希望する夫―

 

血液がんを患いつつ慢性腎不全で人工透析を受けていた65歳トモコさん(仮名)のお話です。

 

がんの治療をA病院で行い、週3回の透析をB病院で行っていたトモコさんですが、合併症の発症を契機

にA病院でのがん治療が中止となりました。

 

トモコさんはA病院に「見放された」との気持ちを抱くのですが、主治医に「B病院に通院して透析を

続けながら自宅療養したい。何かあったときに対応してもらえるように訪問診療も受けたい」とお願い

したのです。

 

そこで入院が必要なときはB病院が受け入れることを確認の上で、A病院からたんぽぽクリニックに

トモコさんの紹介がありました。

 

初回訪問時、トモコさんは

「自宅でできるだけ過ごしたい。通院がしんどくなったら、透析はしない。そのために死期が

早まってもいい。それも覚悟の上で自宅で療養します」

 

と言われたのに対し、旦那さんの意見は

「家で看られる間は自宅で療養させたいが、できればB病院に入院して透析を継続し、そこで緩和ケアも

受けてほしい」でした。

 

数回の訪問ののち訪問医から今後どのようにするかについて以下の3つが提案されました

①透析を中止して自宅で終末期緩和ケアを受ける

②透析継続のためB病院に入院して終末期緩和ケアを受ける

③いったん透析継続のためB病院に入院、透析中止の方針となれば退院して自宅で終末期緩和ケアを受ける

 

しかしながらトモコさんと旦那さんの意見は平行線のままで、娘さんも交え皆で再度話し合おうとした

矢先にトモコさんは自宅で急逝されてしまいます。

 

まさしく意思決定支援の困難事例といえると思います。

 

永井先生も「初期にB病院の主治医と連携して「いつまで透析を続けるのか?止める目安と入院の必要性に

ついてどうするか」といったことを、ご家族とも一緒に話し合っておくべきでした」と述べています。

 

ここから学べることは

透析を中止するという選択肢もあり得ること。それには、止めた後にどうなるか?ということを患者と

家族が理解・納得するまで丁寧に説明する必要があるということです。

 

この説明は在宅医と透析医のどちらが行うのか?ぜひ一緒に行った方が良いと思います。

 

患者・家族間だけではなく医療者間の意思疎通も大事なように感じます。

 

トモコさんが訴えた透析の苦しさ。治ると思えば耐えられる苦痛も治らないのであれば、、と考えてしまいます。

 

やはり透析患者の訪問診療は在宅緩和ケアではないのでしょうか。

 

 

 

参照文献:

永井康徳 在宅医療の質を高めるキーフレーズ 南山堂 2025年

永井康徳 後悔しないお別れのために33の大切なこと 主婦の友社 2025年