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アイビー便り

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介護保険2次判定に役立つ主治医意見書記載法

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こんにちは、アイビー院長です。

 

2001年2月「民医連医療」誌に掲載された論文を紹介します。筆者の水尻強志さんは

宮城県長町病院の元院長でリハビリテーション医です。

 

発表されたのは介護保険が施行されて1年ほど過ぎた時期にあたり、主治医意見書の作成

に慣れていない先生もまだ多かったと思います。

論文の副題は「主治医意見書と要介護認定結果を分析して」です。

 

論文の問題意識としては、主治医意見書の問題で申請者の自立度(介護度)が正確に

反映されず低めに認定されると利用者の不利益となるというものでした。

 

そこで現在の状態から要介護度を推測することが、認定された介護度の是非の判断にも

つながり、再申請や区分変更申請、不服申し立てのもつながると述べられています。

 

それでは対象と方法から論文をみてみましょう。

長町病院でリハビリテーション医が2000年9月末までに主治医意見書を作成したもの

のうち要介護度が判明した193名が対象となっています。

 

男性89名(平均年齢69.0±10.7歳)、女性104名(76.6歳±9.3歳)でした。

 

主治医意見書より対象者の障害老人自立度(「障害高齢者の日常生活自立度」の旧称)、

痴呆性老人自立度(「認知症高齢者の日常生活自立度」の旧称)のデータを抽出し、それらと

介護度の関連をみています。

また特別や医療や心身の状態に関する意見より摂食状況や問題行動の有無を抽出し、

それらも介護度との関連をみています。

 

統計的解析にはχ2検定を用いており、各々の因子と介護度との関連を検討しています。

 

その結果から、2つの自立度より介護度をおおまかに推測するものとして下図を提示しています。

 

 

また、筆者は介護度が変更された場合における主治医意見書記載例を5例示しており、

そのうち2例を紹介します。

 

(1)73歳男性、要介護2

脳梗塞後遺症で重度左片麻痺と無視症候群(左半側無視、病態失認、着衣失行等)があり、

起き上がり、車椅子駆動、摂食・尿便自制以外はADL全介助でした。

主治医は障害B2、痴呆(認知症)Ⅲaで要介護3以上と判断し下記のような記載にて

要介護3に変更となっています。

 

生活全般に介助を必要とし、介護の手間がかかる。また廃用症候群予防のために機能訓練が

不可欠である。装着が困難な長下肢装具を使用し、歩行訓練を積極的に行い、機能維持が

なんとかできている。介護に非常に手間がかかることを考慮すると、区分変更が適当と思われる。

 

 

(2)83歳女性、要介護1

パーキンソン症候群、両膝変形性関節症で歩行が不自由であったが以前は家の周囲を

散歩出来ていました。しかしインフルエンザ罹患を契機に廃用症候群を生じ室内移動がやっと

となってしまいます。夜間尿失禁があってオムツ使用し、更衣にも介助が必要となりました。

何もせず無為に過ごすようになり認知機能の低下が認められ

主治医は障害A2、痴呆(認知症)Ⅲbと判断し、以下の区変で要介護4となっています。

 

「閉じこもり」による廃用症候群予防がなにより大事である。社会交流目的を含め、通所ケア

利用継続が望ましい。生活介助なども必要である。前回は要介護1と判定されたが、介護量が

増大しており、区分変更が望ましい。

 

 

 

担当する患者さんの介護度が現状を反映しておらず介護サービスの増加が必要な場合は、

かかりつけ医としても区分変更の提案を行うべきでしょう。

 

筆者が指摘するように、移動に介助が必要となる障害高齢者の日常生活自立度B1以上であれば

要介護3(場合によっては要介護2)以上の可能性が高いという見立てはかかりつけ医が

知っておくべきことかもしれませんね。

 

 

参照文献:水尻強志 介護保険2次判定に役立つ主治医意見書記載法(2000年度改訂版)

-主治医意見書と要介護認定結果を分析して― 民医連医療 342巻 p59-64 2001年

 

 

 

 

論文に掲載された写真です。2000年から今も変わらぬ訪問診療の一コマでしょうか?

 

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