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アイビー便り

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免疫の意味論

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こんにちは、アイビー院長です。

 

当クリニックには3つの約束があり、「自分らしさにこだわります」はそのうちの一つです。

 

ところでこの「自分らしさ」≒ 自己とはなんでしょうか?

 

今から30年まえの免疫学の本に書いてあることが面白かったのでご紹介します。

 

 

免疫学には

「自己」と病原体などの「非自己」をどのように判別するか?

非常に多様な非自己をどうして認識できるか?

という問題があったようです。

 

同書の第三章 「免疫の認識論 ネットワーク説をめぐって」では、この問題に対する

回答のひとつとしてニールス・K・イェルネのネットワーク説が紹介されています。

 

一般に非自己である病原体などを抗原といい、その抗原に特異的に反応する分子を抗体といいます。

 

イェルネは、ひとつの個体内に存在している抗体分子(全身では1020分子)は、ばらばらに存在する

のではなく、お互いに反応し合いながらひとつの連続したネットワークを形成している、と考えました。

 

ある抗原に対応するため抗体がつくられると、その抗体自身を新たな抗原として、それに対する

新しい抗体がつくられます。このようにしてすべての抗体は反応し合い、連鎖して

「自分の尾を飲みこむ蛇みたい」に閉じ込められた環を作り、これがネットワークとして

免疫学的な自己となります。

 

抗体が反応する抗原の部位をイディオトープといいますが、抗体自身も抗原として多くの

イディオトープをもっていることから、ネットワークには非常に多様な抗体が存在している

ことが予想されます。

 

イェルネは、すべての「非自己」に対する反応は、自己のイディオトープとの反応性をもとに

して成立すると考えました。

 

すなわち「自己」のイディオトープを模倣するような「非自己」が現れたときのみ、反応が起こるのです。

イディオトープは、免疫系が外部にある「非自己」を見る際にその「内部イメージ」として

存在することになります。

 

このネットワーク説に従えば、あらゆる「非自己」は、「自己」にとって新しいものではあり得ず、すでに

「内部イメージ」として知悉していたものに過ぎないことになります。新しい言葉は、すべて「自己」の辞書に

書かれていたのです。それだから理解でき、反応もできるのです。(以上本文の一部を改変して説明)

 

 

あまり意識したことのない漠然としたイメージの「自己」≒「自分らしさ」もこのように考えると新鮮ですね。

「非自己」を知ることが「自己」を知ることにつながるかと思ったら、

「自己」は想像以上にあいまいで広がりがあるものかもしれません。

 

ここで再びネットワーク説に戻り、クリニックのいう「自分らしさ」に変換してみると、私たちひとりひとりも

抗体と一緒で、自分自身の個性というイディオトープに家族を含む他人という抗体が反応してネットワークを

作っているのかもしれませんね。

 

また別の見方からは、「自分らしさ」≒ 自己というのは無限に近い可能性の中から偶然選び取られて安定した

ものであり、そのひとを取り囲むネットワークによっては、いかようにでも変化し得るものなの

かもしれません。

 

 

参照文献:多田富雄 免疫の意味論 青土社 1993年